地球観測に関わる多種多様なデータを研究コミュニティや事業者が安全・安心に利用するには、そのためのIT環境が必要です。GEO Gridを実現するにあたり、バックボーンで支えるIT環境の主な特徴を以下にあげます。
仮想組織(VO)
GEO Gridシステムでは、仮想組織(Virtual Organization, VO)の概念をデザインコンセプトに導入しています。GEO Gridにおいては、様々なデータや計算が標準的なプロトコルおよびインタフェースを通じて利用可能な「サービス」として提供され、防災、環境問題、資源探査といった研究コミュニティの要求に応じて必要なサービスを統合することにより、VOを構成します(図参照)。
GEO Gridには、サービス提供者、VO管理者、エンドユーザ、およびGEO Grid管理者の4つの役割が存在します。サービス提供者はデータや計算の所有者であり、エンドユーザに対してそれらをサービスとして提供します。VO管理者はコミュニティやプロジェクトの管理者と考えれば良く、VOの構築、VOに所属するユーザの管理、ユーザ向けポータルの構築を行ないます。GEO Grid管理者は利用可能なサービスが登録されているレジストリの管理およびそれへのアクセス制御を行ないます。エンドユーザは基本的には1つ以上のVOに所属し、実際にサービスを利用することにより研究・調査を行ないます。VOの概念を導入することにより、コミュニティの要求や興味に応じて必要なサービスを統合した研究環境の動的な構築を支援します。

データベース統合
様々なデータベースを統合して使用するためには、OGC標準仕様をサポートするのはもちろんのこと、広域に分散したデータベースに安全にアクセスできる枠組みが必要です。GEO Gridでは、データベースのミドルウェアであるOGSA-DAI(Open Grid Service Architecture Data Access Integration)を採用しています。OGSA-DAIはWSRFやSOAPといったWebサービスベースのプロトコルに基づいたデータベースへアクセスするためのソフトウェアで、英国のOMII(Open Middleware Infrastructure Institute)プロジェクトが開発しています。OGSA-DAIを利用する事により、GEO Gridでは分散結合演算を含む,データベース問い合わせ機能、RDBやWebDBなどの様々なデータベースを統一的なインタフェースで扱う機能、サービス間でのデータ転送を可能とする第三者転送機能の3つの機能を提供しています。
セキュリティ
GEO Gridのセキュリティは,Grid Security Infrastructure (GSI)およびVOレベルの認可機構を基本としています。ユーザに対して簡便なインタフェースを提供するため、サーバ側でユーザアカウントおよびGSIのためのユーザ証明書を集中管理する仕組みを導入しています。また、フリーなデータのアクセスに際してはGSI認証を必須としないなど、データの提供ポリシーに応じた保証レベルを実現するとともに、ユーザ証明書の管理に関しても、サーバ側での集中管理方法のみでなくユーザが自分で管理するユーザ証明書を用いた認証も可能としています。一般に、ユーザは一つ以上のVOに所属し、サービスへのアクセスに際してはVOに基づく認証・認可を基本とします。VOにおいて各ユーザがそれぞれどういった権限、役割を持つかはVO内で管理しますが、サービスへのアクセス制御をVO単位で行なうか、VOにおけるユーザの権限・役割を確認して行なうか、VOの情報は用いずにユーザごとに行なうかは、サービス提供者のポリシーに応じて決定されます。これにより多様なデータと計算を統合し、コミュニティの作成を支援するとともに、データ配布ポリシーを尊重しつつ、ユーザ数に対してスケーラブルなアクセス制御を実現します。



