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火砕流シミュレーション

GEO Gridを利用したアプリケーションの1つに、火山災害軽減を目的とした、地球観測衛星ASTERセンサの高精度標高データ(15m精度)を使用した火砕流シミュレーションがあります。GEO Gridでは、こうした自然災害軽減のためのシミュレーション技術開発にも取り組んでいます。

長崎県の雲仙火山では、1991年〜1995年の5年間に合計9500回以上の火砕流が発生しました。1991年6月3日の火砕流では43名の方が犠牲になっています。雲仙火山の火砕流は、成長する溶岩ドームの不安定な部分が崩壊し、高温(600℃以上)・高速(時速100km以上)で流れ下るという、非常に危険なものでした。火山災害の軽減のため、全国の主要な活火山では、従来の「地図(紙面)」の形で火山防災マップ(ハザードマップ)が作成されてきました。今後はこれらの情報に「地理情報システム(GIS)」を用いた各種データの重ね合わせ機能や、現地での状況に応じて対応できる「リアルタイムハザードマップ」が求められています。

GEO Gridの火砕流シミュレーションでは、エナジーコーンモデルによるシミュレーションをWebブラウザ上で行うことができます(図1)。このシミュレーションは、地点を指定し、噴煙柱崩壊高度(Hc)と火砕流の等価摩擦係数(H/L)の2つのパラメータを入力するだけで、火砕流がエネルギー的に到達しうる範囲を評価することを可能にしています。現在、メラピ火山(インドネシア)、富士火山、雲仙火山、霧島火山、桜島火山、羊蹄火山、有珠火山、樽前火山、磐梯火山の9つの火山でシミュレーションを実行できます(図2)。噴火の最中でも、地球観測衛星による3次元標高モデルなどの新たな観測情報を加えることで、火山活動の状況に応じて、常に最新の地形データを使用することができます。また、グリッド技術により高速な処理が可能なため、10秒〜3分程度という短時間で処理を行うことが可能です。このシミュレーションは、火砕流に限らず、山体崩壊、地すべりなどさまざまな火山災害、地質災害に応用できます。一般への公開は、2007年度を予定しています。世界中の研究者、防災担当者が、いつでも世界中のどの火山でも、このシミュレーションを使用できるようにすることを目指しています。
 今後は、溶岩流の数値シミュレーションや、粒子流モデル等による数値シミュレーションを実装する予定です。この火砕流シミュレーションによって、火山噴火の際の迅速な対応が可能になり、住民避難の判断材料として役立つことを期待しています。

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